当ウェブサイトでは、サイトの利便性向上を目的に、クッキーを使用しております。 詳細はクッキーポリシーをご覧ください
また、サイト利用を継続することにより、クッキーの使用に同意するものとします。

タイ・ASEANの今がわかるビジネス経済情報誌アレイズ

ArayZロゴマーク

【野村総合研究所】タイ、アセアンの自動車ビジネス新潮流を読む

モーターエキスポで見た中国メーカーの急伸

  • この記事の掲載号をPDFでダウンロード

    メールアドレスを入力後、ダウンロードボタンをクリックください。
    PDFのリンクを送信いたします。

メールアドレスを入力後、ダウンロードボタンをクリックください。PDFのリンクを送信いたします。

    入力いただいたメールアドレス宛に、次回配信分からArayZ定期ニュースレターを自動でお送りいたします(解除可能)。個人情報の取り扱いについてはこちら

    バンコクモーターエキスポが21年11月30日から12月12日まで開催された。入場時には、新型コロナウイルスのワクチン接種証明書または会場でのATKテストによる陰性証明が必要であり、前回よりも厳しい対策が実施されたにも関わらず、主催者の発表では期間中の予約台数は31,583台と、当初の目標であった3万台を突破した。

    新規モデル攻勢でGWMが存在感

    2021.05月号「迫り来るEVシフト」より

    高解像度JPEG

    今回の展示会で目立ったのは、20年にGMから工場を取得してタイに進出した長城汽車(GWM)などの中国勢や、新型高級電気自動車(EV)を発表したBMW、メルセデスベンツ、アウディなどの欧州の高級車メーカーである。

    これに比べると、日系メーカーはホンダの「HR-V e:HEV」を除くと、新型車の発表は少なかった。ただ蓋を開けてみると、展示会でのブランド別販売(12月11日現在)では6位までトヨタ、ホンダ、いすゞなど日系勢が独占し、非日系では7位に上海汽車MG、8位にメルセデスベンツが入った。

    本稿で特に注目したいのは、21年のバンコクモーターショーでタイ初登場したGWMである。この時、GWMはハイブリッド版「HAVAL H6」を世界初披露。その欧州風の斬新なデザインと、3年間で計9モデルを出すという「9 in 3」戦略に基づく野心的な商品戦略は、中国系新興メーカーの勢いを感じさせた。

    その後も、驚異的な商品展開を見せた。今回も直前に公開した小型SUV「HAVAL JOLION」の販売を開始し、22年以降発売される予定のプラグインハイブリッド版「HAVAL H6」、中型SUV「TANK」を世界初披露した。GWMは展示会の販売でも11位に入り、上々のスタートとなった。

    GWMの特徴はブランド価値を重視しながら、比較的高い価格帯のセグメントから製品を投入している点だ。同社の幹部によれば、「投入する全セグメントでシェアNo.1を目指す」と胸を張る。最初に販売したハイブリッド版「HAVAL H6」は、トヨタの「COROLLA CROSS」などと同価格帯の100万バーツに設定し、70万バーツの安値で小型SUVから投入した上海汽車MGの戦略と一線を画す。

    中でも注目されるのは、EVの「ORA GOOD CAT」だろう。BMWの「MINI」を想起させるキュートなデザインが若い女性中心に受け、価格は100万バーツ台で小型EV市場のパイオニアとしてのプレゼンスを狙う。約1年半前に筆者が同社を訪問した際に、同社の幹部は「ORAはMINIのようなプレミアムな価値を持つブランドを目指す」と語っていた。

    小型SUV「JOLION」も、ホンダの「HR-V」やマツダ「CX-30」などと同じ90万バーツ台で真っ向勝負し、「斬新なデザインとハイテクイメージ」で顧客に訴求しようとしている。

    豪州市場で躍進する中国勢

    中国メーカーのタイ市場での成長を占う上で参考になるのは豪州市場だ。タイ市場に比べて後発である中国メーカーに対する障壁が低く、先行参入しているからである。豪州は2000年代に自動車の国内生産を諦め、全面的に輸入車に依存する市場であることから、ブランド間の競争は激しい。

    豪州市場で急伸する中国メーカー(2021年1~11月)

    21年の1月~11月の販売統計によれば、販売トップ5はトヨタ、マツダ、ヒュンダイ、フォード、起亜であり、その5社の市場シェアは53%にのぼる。しかし、最近躍進しているのは中国メーカーだ。上海汽車MGは前年比168%増の35,757台で9位、GWMは同267%増の16,864台と14位に入り、ホンダ(15位)、スズキ(16位)を超えた。

    MGやGWMが豪州市場で躍進したのは、豪州でのSUV志向やアウトドアブーム志向に迅速に応えているからと言えそうだ。GWMは22年の販売目標を21年から倍増の4万台に設定。来年の豪州での中国系メーカーのシェアは1割を超える勢いだ。

    日系メーカーとしても、豪州市場のようにシェアを大きく奪われる事態を招かぬよう、タイでもさらにスピーディーな市場の変化への対応や新規技術の先行投入などが求められそうだ。

    寄稿者プロフィール
    • 田口 孝紀 プロフィール写真
    • 野村総合研究所タイ
      マネージング・ダイレクター田口 孝紀

    • 山本 肇 プロフィール写真
    • 野村総合研究所タイ
      シニアマネージャー 山本 肇

    • 野村総合研究所タイロゴマーク
    • TEL : 02-611-2951

      URL : www.nri.co.jp

      399, Interchange 21, Unit 23-04, 23F, Sukhumvit Rd., Klongtoey Nua, Wattana, Bangkok 10110

    《業務内容》
    経営・事業戦略コンサルティング、市場・規制調査、情報システム(IT)コンサルティング、産業向けITシステム(ソフトウェアパッケージ)の販売・運用、金融・証券ソリューション

    • この記事の掲載号をPDFでダウンロード

      メールアドレスを入力後、ダウンロードボタンをクリックください。
      PDFのリンクを送信いたします。

    メールアドレスを入力後、ダウンロードボタンをクリックください。PDFのリンクを送信いたします。

      入力いただいたメールアドレス宛に、次回配信分からArayZ定期ニュースレターを自動でお送りいたします(解除可能)。個人情報の取り扱いについてはこちら

      人気記事

      1. Dear Life Corporation CEO 安藤 功一郎
        Dear Life Corporation CEO 安藤 功一郎
      2. ASEAN-EV市場の今〜タイ・インドネシアEV振興策および主要自動車メーカーの戦略〜
        ASEAN-EV市場の今〜タイ・インドネシアEV振興策および主要自動車メーカーの戦略〜
      3. 苦境が深まるVinFastの「一足跳び戦略」
        苦境が深まるVinFastの「一足跳び戦略」
      4. 中国NEV最大手BYDのタイ進出〜日系メーカーにとって黒船到来となるのか〜
        中国NEV最大手BYDのタイ進出〜日系メーカーにとって黒船到来となるのか〜
      5. タイ国外への支払いにかかる源泉所得税・前編
        タイ国外への支払いにかかる源泉所得税・前編
      6. 分岐点に立つベトナムの国民車メーカー・ビンファスト
        分岐点に立つベトナムの国民車メーカー・ビンファスト
      7. 【シンガポール】シンガポール、生活費が世界一=大衆車で1500万円、駐在員もつらいよ
        【シンガポール】シンガポール、生活費が世界一=大衆車で1500万円、駐在員もつらいよ
      8. ベトナムが入国ビザ緩和へ ― 他方、外国人の労働許可手続には課題
        ベトナムが入国ビザ緩和へ ― 他方、外国人の労働許可手続には課題
      9. タイの新たな電気自動車(EV)奨励策
        タイの新たな電気自動車(EV)奨励策

      広告枠、料金など詳しい情報は
専用ページをご覧ください。

      広告枠、料金など詳しい情報は
      専用ページをご覧ください。

      広告掲載についてページを見る

      お電話でのお問い合わせ+66-(0)2-392-3288

      タイ・ASEANの今がわかるビジネス経済情報誌

      閉じる