聞きたくても聞けなかった、タイの税金事情

会社閉鎖時に発生する税金(後編)

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    2023年4月号で「会社閉鎖時に発生する税金(前編)」として、タイ現地法人の撤退時の手続きについて解説しました。

    タイでは解散時に赤字状態にも関わらず法人税の支払いが発生するケースがあり、本稿では不必要な法人税支払いを避けるためのタックスプランニングについて解説していきます。

    従業員解雇における労働者保護法上のルール

    撤退作業時に資金が十分でない状態でも、会社都合で従業員を解雇する場合は労働者保護法上のルールにより解雇補償金の支払いが必須です。固定資産の売却等でそれを賄える資金がある場合は問題無いですが、撤退を決めた企業の多くは資金不足の状態である事が多く、不足資金を親子ローンで調達してもローンの返済義務が残ります。最終的に解散登記前に親会社側が債権放棄、タイ子会社側は債務免除を受ける事になりますが、この手続きを実行した場合、タイ歳入法では債務免除益は収入となります。

    撤退のために調達したローン以外にも過去に実行した未返済の借入金や未払いになっている買掛金などの負債が親会社向けに残っている場合、これらの債権債務を解消するため債権放棄/債務免除の手続きを行う必要があります。

    過去5期分の繰越欠損金があり、債務免除益が発生したとしても欠損金で相殺できる場合は法人税の支払いが発生する事はありませんが、休眠状態の法人を解散する場合や、過去の繰越欠損金が既に時効で使えない、または債務免除益の金額が大きすぎて繰越欠損金で相殺出来ない場合は法人税の支払いが発生します。納税資金が足りないためさらに親会社側から資金調達をする必要が出てきます。

    増資を組み合わせる事で法人税の支払いを回避

    このように解散時に必要の無い支払いを避けるためのタックスプランニングとして、増資を組み合わせる方法があります。

    1. 1) 最終的に支払いが必要で不足する金額の試算を行う。
    2. 2) 不足額を全額ローンで資金調達を行ったと仮定し、現在貸借対照表に残っている本社向けの負債の債務免除を受けた際、法人税が発生するかしないかの課税計算を行う。法人税が発生しない場合は全額借入金での処理が可能。
    3. 3) 法人税が発生する場合、法人税が発生しない限度額までを借入とし、残りの必要資金については親会社側のみ増資の引き受けを行う事で、債務免除益が理由で解散時にタイ側で法人税が発生する事を回避する事が可能。

    しかし、この方法を取る場合親会社側で税務上も貸倒損失や出資損が損金算入できるかの判断が必要となるため、親会社側の税理士とも検討が必要です。

    撤退という前向きな動きでは無いため必要最低限な支出で最短の時間軸で動く必要があります。マイナスな時であるからこそ、自社にとって最良な選択をできるよう専門家へ協力を依頼する事も大切です。

    寄稿者プロフィール
    • 坂田 竜一 プロフィール写真
    • J Glocal Accounting Co., Ltd.
      Managing Director坂田 竜一

      大学卒業後、証券化に特化した会計事務所勤務を経て2009年来タイ。大手日系会計事務所で5年間勤務し、日系金融機関ほか多くの日系企業の会計・税務・監査業務に従事する。2013年12月、J Glocal Accounting Co.,Ltd.を設立、タイと日本の会計・税務の専門家として日系企業へのサポートを行う。

    • JGA ロゴマーク
    • URL : www.jga.asia

      言葉、文化を超えてグローバル日系企業が本業に専念できる環境を提供します。

    JGA

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