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【野村総合研究所】タイ、アセアンの自動車ビジネス新潮流を読む

トヨタが新型EV専用車をタイで投入する背景

野村総合研究所

トヨタ自動車(以下トヨタ)は2022年4月末、タイのEV振興策の適用を受けることでEV専用モデル「bZ4X」の輸入販売を開始すると発表した。振興策の適用を受けるのは日系企業としては初で、最大15万バーツの補助金の恩典が得られる。ただし、その条件として現地生産や主要部品の現地調達が必須となることから、遅くとも25年からEVの現地生産を開始するとみられている。

トヨタと他社のEV車の比較

2022年、バンコクモーターショーで初披露されたトヨタのEV専用車「bZ4X」

2022年、バンコクモーターショーで初披露されたトヨタのEV専用車「bZ4X」

前述した「bZ4X」は、EV専用プラットフォーム「e-TNGA」で開発された最初のモデルであり、「RAV4」とほぼ同じサイズの中型SUV。日本ではサブスクリプション方式(定額方式:月額8万8,220円)のみで車体販売価格を公表していないが、英国ではベースグレード4万1,950ポンド(約665万円)から販売しており、タイでは補助金額を加味すると約164万バーツになることが想定される。現代自動車の「IONIQ」や「KONA」の販売価格(補助金なし)といった他のEVモデルと比較すると、10~20万バーツ下回ることになる反面、スペックは上回り、中型クラスのEVセグメントでは競争力の高いモデルと言えよう。

しかしながら、いくつかの課題も見受けられる。スペックが異なるため単純には比較できないが、中国メーカーは車格が小さいABクラスないしBクラスのEVモデルを100万バーツを切る価格での販売を開始した。その一方で、300万バーツ近くで販売されている高級EVブランドTeslaの「Model 3」は、格安中国モデルに次いで人気が高い。トヨタはこれらの間に挟まれる形となり、いかに技術的・性能的な優位性をユーザーに訴求し、差別化を図っていくかが重要になってくる。

次に、内燃機関車と比較した際の価格である。トヨタが販売する内燃機関車と比べると、2.5リッターの「カムリ」や2.4リッターの「フォーチュナー」の高級グレード(Legender)とほぼ同じ価格帯となる。しかしEVの再販価格が未知数であるために、再販価格まで考慮すると、実質的にはこれらモデルより割高となる。また、バッテリーやモーターなどの主要部品は輸入されることから、現地調達率は内燃機関車より低くなり、生産コストは高くなる見込みだ。他方で、トヨタのBCクラスのハイブリッド車は100万バーツ程度で販売されている。トヨタの顧客は比較的ブランドロイヤルティが高く、中国メーカーには流出しにくい傾向があることから、同社EVの最大の競合となるのは、自社の割安の内燃機関車やハイブリッド車なのかもしれない。

トヨタがタイでEV専用車を投入する背景

以上のような制約があるなかで、採算性に厳しい同社がなぜタイでEV専用車の販売に踏み切ったのだろうか? あくまでも筆者の推測であるが、その理由として以下の3つが挙げられる。

第1に、タイでトップシェアを誇るトヨタとしては、振興策を発表してEVの普及を図ろうとするタイ政府の意向を無視できないという点が挙げられる。第2に、先進的な商品や技術を投入することでブランド価値の維持・向上を図ること。弊社の調査でも、タイ人は車のブランド価値として技術・商品の先進性を重視していることが確認されている。そして第3に、今後EVをはじめとするゼロエミッション車が新興国でも普及することが見込まれるなかで、タイで先行して展開することにより、新興国向けのビジネスモデルを確立する狙いがあると見ている。

寄稿者プロフィール
  • 田口 孝紀 プロフィール写真
  • 野村総合研究所タイ
    マネージング・ダイレクター田口 孝紀

  • 山本 肇 プロフィール写真
  • 野村総合研究所タイ
    シニアマネージャー 山本 肇

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  • TEL : 02-611-2951

    URL : www.nri.co.jp

    399, Interchange 21, Unit 23-04, 23F, Sukhumvit Rd., Klongtoey Nua, Wattana, Bangkok 10110

《業務内容》
経営・事業戦略コンサルティング、市場・規制調査、情報システム(IT)コンサルティング、産業向けITシステム(ソフトウェアパッケージ)の販売・運用、金融・証券ソリューション

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