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時事通信 特派員リポート

【シンガポール】「報道の自由度」中国や北朝鮮並み=新聞社は政府傘下に(シンガポール支局 新井 佳文)

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    シンガポール人はランキング好きだ。住みやすさやデジタル導入度、大学の評判などの番付の高さに誇りを感じ、企業誘致のPRにも活用している。しかし、地元メディアが決して紹介しない番付がある。国際ジャーナリスト団体、国境なき記者団(RSF、本部パリ)の「報道の自由度」だ。

    2021年版では180ヵ国・地域で160位に低迷。イラク(163位)、中国(177位)、北朝鮮(179位)と共に「ブラック(極悪)」級に分類された。適用対象が曖昧な偽ニュース防止法が導入されたり、新聞社の政府傘下入りが決まったりするなど、言論や報道の自由への逆風は強まるばかりだ。

    強まる自主検閲

    「それはOB(タブー)だ」。OBとは、ボールがコース外に出てしまうことを意味するゴルフ用語。RSFによれば、シンガポールの記者の間では、報道できないタブー対象を指す隠語として使われている。

    RSFは、政府がジャーナリズムに関連したあらゆる形態のコンテンツを検閲する権限を持つと指摘。政府に批判的なメディアや人物を「名誉毀損(きそん)」などの名目で提訴し、巨額の賠償金請求や禁錮刑でつぶしていく強硬な手法を問題視した。提訴対象はリー首相夫妻や政権を批判したものが目立つ。

    偽ニュースかどうかは閣僚判断

    19年に偽ニュース防止法が導入され、メディアの自主検閲の風潮が一層強まり、タブー対象も一層拡大した。何しろ、ニュースを「フェイク(偽)」と判断するのは独立機関でなく閣僚だ。基準は曖昧で、記者が萎縮するのも無理はない。

    「国益に反する偽情報」と認定された場合、訂正に応じなければ、企業には最大で罰金100万シンガポールドル(約8000万円)が、個人には罰金10万ドルか禁錮10年が科される。ニュースサイトばかりか、個人のSNSでのチャットまでが処罰対象になる。

    国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、シンガポール政府は批判的な意見を取り締まってきた「前歴」があるだけに、国民は偽ニュース防止法を「言論統制が狙い」と受け止めざるを得ないと批判した。

    今年10月には、ネット上の情報を強力に取り締まる「外国干渉対策法」も議会で成立。フェイスブックは基準が曖昧で、外国勢力による干渉と政権への反対意見をどう区別するのか不透明だとの懸念を示した。

    新聞社トップは天下り軍人

    ストレーツ・タイムズ紙など国内各紙をほぼ独占的に発行してきた新聞事業が、メディア大手シンガポール・プレス・ホールディングス(SPH)から分離され、政府出資でNPO法人化される計画が決まったことも懸念材料だ。テレビ各局を運営するメディアコープも民間企業の形をとるが、政府系投資会社の傘下に置かれている。

    SPHはもともと、天下り軍人がトップを務めるなど、政府の強い影響下にあった。資金面でも政府傘下に入ることで、地元紙で政府に批判的な記事を見つけるのはさらに難しくなりそうだ。

    ※この記事は時事通信社の提供によるものです(2021年12月1日掲載)

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