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時事通信 特派員リポート

【バンコク】中国メーカー、24年からタイで 一斉にBEV生産開始=日本車のシェア縮小

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      2024年から、中国メーカーがタイで本格的なバッテリー電気自動車(BEV)の生産を一斉に開始する。タイの自動車市場では日本勢が圧倒的なシェアを誇ってきたが、電気自動車(EV)市場の急拡大により、日本車のシェアが縮小し始めている。今後、タイの自動車市場が大きく変化する可能性がある。 (バンコク支局 海津 敬史)

      BYD、上海汽車などが生産開始

      24年以降にBEVのタイ生産を予定している主な中国企業はBYD(比亜迪)、合衆新能源汽車(NETA)、上海汽車(SAICモーター)、長城汽車(GWM)、長安汽車、東風汽車など。三井住友銀行の企業調査部は中国EVメーカーのタイなど東南アジア市場への進出について「中国国内ではEV販売競争が激化している。新たな市場で収益機会を得たい考えがある」と説明する。

      EV生産の開始が相次ぐ背景には、タイ政府によるBEV販売促進のための補助金支給もある。中国製などのEVは1台当たり7万~15万バーツ(約29万~約62万円)の補助金を受け、販売促進につなげている。ただ、この補助金には条件があり、輸入・販売したのと同数のBEVを24年からタイで製造することが求められる。

      タイ政府は国内の自動車生産に占めるEVの割合を30年までに30%に引き上げる目標を掲げ、補助金のほかにも、物品税の減免、輸入関税の引き下げなども行っている。まず、国内市場にBEVを普及させ産業を形成。その後に国内生産と輸出を拡大し、内燃機関エンジン(ICE)産業と同様にBEVでもアジアの輸出ハブ(拠点)としての地位を確立したい考えだ。

      BEV市場が急拡大

      これらの販売促進策の後押しを受け、タイのBEV市場は急拡大している。タイ運輸省陸運局によると、23年上半期(1~6月)の四輪BEVの登録台数は前年同期比10倍超の3万1,738台に上った。  22年に最も売れた長城汽車の「ORAグッド・キャット」の販売価格は約100万バーツ(400万円)と、エンジン車に比べると決して安くはないものの、日本や欧州のメーカーのBEVよりかなり安価だ。日本貿易振興機構(ジェトロ)バンコク事務所の広域調査員(アジア)、北見創氏は「タイでは、価格が手頃でデザインも良い中国製スマートフォンに人気があり、EVにも同じ傾向がある」と説明した。

      今年上半期のBEV販売をモデル別に見ると、BYDの「ATTO 3(アットスリー)」が1万1,167台(シェア35.2%)でトップ。2位はNETAの「NETA V」の5,955台(18.8%)、3位は米テスラの「モデルY」の3,638台(11.5%)。23年に入り、BYDが圧倒的な人気を得ている。北見氏は「長期のバッテリー保証があり、デザインもしっかりしている。また、新興メーカーに比べ、ネームバリューがある」と理由を分析した。  中国メーカーを中心とするBEV市場の急拡大によって、タイの自動車販売市場における日系メーカーのシェアは縮小。22年の日系ブランドのシェアは約85%だったが、今年上半期は79%まで落ち込んだ。

      ただ、内燃機関で大きなシェアを獲得し、利益を出している日本メーカーのEV展開は依然慎重だ。  日系部品メーカーなどからは中国勢のシェア拡大に危機感も漂う中、日本勢のBEVピックアップトラック生産に対する待望論が高まっている。タイは、自動車生産の7割近くをピックアップを中心とする商用車が占める「ピックアップ大国」。トヨタ自動車は22年末、ピックアップ「ハイラックス」のBEVコンセプト車をバンコクで初公開。「技術力で差が出るピックアップは日本勢に勝ち目がある」(関係者)などと、期待する声が大きい。

      ※この記事は時事通信社の提供によるものです(2023年9月7日掲載)

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